22時に慢性的なよだれが口の中を舞っていた。目覚ましが鳴る以前に歯磨きもせずに酒を飲みコンビニ弁当を食った口元を怠惰な悪臭が誘っていた
「目を覚ましてしまったら深夜3時まで起きているだろう」と言われそのまま素直に目を閉じてみようと試みる。
24時に絶望に似た音楽が流れていた。そう、ジョゼと虎と魚たちのBGMだった。
ジョゼの小細い声がスピーカーから朗読されてゆく。
『「いつかあなたはあの男を愛さなくなるだろう」とエルナールは静かに言った。
「そして、いつか僕もまたあなたを愛さなくなるのだろう。我々はまたもや孤独になる。それでも同じ事なのだ。そこにまた流れ去った1年の月日があるだけなのだ。」
と。
「えぇ、わかってるわ」とジョゼは言った。』